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東京国際ボートショー


クルージング教室物語
横浜マリーナでは、毎年クルージング教室を開講しています。クルージング教室に参加した生徒たちとヨットオーナーによる楽しいクルージング物語。

佐藤麻美子
佐藤麻美子は、青野隆とは大学の同級生だ。2人とも幼少時代に父親の仕事の関係でアメリカ暮らしをしていた帰国子女で、お互い育った環境が同じで感覚が似ているのか、大学を卒業後もよく一緒に遊びに出かけたりしていた。

Nauticat33
青野隆が建造したヨットは、ナウティキャットというフィンランドの造船所で造られたフィンランド製のヨットだった。フィンランドの木材を多く多用した豪華なキャビンを持つヨットだった。

ヨットのキャビン
麻美子は、隆に誘われて、進水したばかりの隆のヨットの中に入った。船内は木材が多用され豪華な造りだったが、表の寒いところに立たされていた麻美子にとっては、豪華な造りよりも船内の暖かい場所にほっとしていた。

冬の海
隆は、進水したばかりの自分のヨットの船上で、気持ち良さそうにヨットを走らせていた。冬の海は、風が重く、強く吹いていて、豪華な造りで重たい隆のヨットもよく滑っていた。

ヨットレディの誕生
冬の寒い海で、隆の新しいヨットに2ヶ月ほど毎週末に乗り続けていると、ヨットのこと何もわからなかった麻美子でも、だんだんヨットの魅力にハマってきてしまっていた。

冬のマリーナ
冬のマリーナは寒いせいか、やはり夏に比べると、マリーナへ船に乗りに来る人たちの数は少ない。そんな中でも、熱心なヨット乗りやボート乗りたちは、マリーナに頻繁に通っていた。

マリーナの常連
寒い冬でも、マリーナに毎週末、ヨットやボートに乗りに来る人たちには、船好き、海好きの人たちが多い。ボート乗りは釣りに興じ、ヨット乗りは冬の強い風でのセーリングに興じている。

クルー
キャビン付きのヨットは、オーナーである所有者、キャプテンだけでなく、クルーと呼ばれる船員として、オーナーが所有するヨットに一緒に乗って楽しむことができる。

クルー募集
ヨットに乗るのは、セイルを上げたり下ろしたり色々と作業があるので、1人で乗るのは大変です。なので、ヨットによっては、一緒に乗ってくれるクルーを募集しています。

ラッコ
隆のヨットの船名は「ラッコ」という。フィンランド製のナウティキャット33というクルーザーで、船首には、動物のラッコが貝を抱えているフィギャアヘッドが付いている。

クルージング教室
横浜マリーナでは、毎年、4月から10月の期間、生徒さんたちにセイリングクルーザーの乗り方を教えるクルージング教室を開催している。

セイルトレーニング
ヨットで右や左に曲がることを、タックやジャイブという。タックやジャイブをする時は、右や左側に張りだしていたセイルをロープを引っ張ったり緩めたりして反対側に入れ替える作業をする。

いっしょに学ぼう
横浜マリーナのクルージング教室では、初日にマリーナの講師から基本的なヨットの乗り方を教えてもらえて、次週からは半年間、マリーナに保管されている各オーナーのヨットに乗り、オーナーと実習しながらヨットを覚えられる。

教室初日
4月、横浜マリーナのクルージング教室初日の朝、麻美子は、隆と一緒に横浜マリーナへ来ていた。結局、隆のヨットが進水してから4月まで毎日曜日欠かさず、ヨットに乗りに来ていた麻美子だった。

座学
クルージング教室初日は、朝から昼の休憩を挟んで夕方までマリーナのクラブハウス2階の教室で、1日ヨットに関する基本的なことを座学で学ぶことになる。

講師
クルージング教室初日の座学の講師は、横浜マリーナにヨットを置いているオーナーさんたちが順番に持ち回りで務めていた。今年の講師は、市川さんだった。

2人だけの出航
市川が、クルージング教室の教壇で慣れない講師を務めている間、隆は、自分のヨットで麻美子と一緒に乗って、セイリングを楽しんでいた。

早めの帰還
今日は、夕方からクルージング教室の生徒たちが各艇に振り分けられるため、隆たちは、どこの港にも立ち寄らず、早めに横浜マリーナに戻って来た。

生徒のお迎え
横浜マリーナの職員が、海から帰って来たラッコの船体をクレーンで上架すると、定位置の船台の上に戻された。船台に乗せられたラッコの上で、隆は引き続きセイルの片付けをしていた。

ロープワーク
麻美子も、他のオーナーさんたちと教室の後ろに並んで、生徒さんたちが座学を受けている様子を眺めていた。生徒さんたちは、ちょうどロープワークの練習をしている所だった。

麻美子先生
横浜マリーナの職員たちは、生徒全員のロープワークをみてあげられず、オーナーの人たちにも、生徒のロープワークをみてあげてくれとお願いして周っていた。

加代
麻美子の教え方がよかったのかどうかはわからないが、その女の子は、もやい結びも、エイトノットも、クラブヒッチもすっかり上手に結べるようになっていた。

振り分け
クルージング教室の生徒さんの殆どは、講師とマリーナ職員、それに他のオーナーさんたちの協力のおかげで、ロープワークが出来るようになれていた。

ラッコの生徒
クルージング教室の生徒たちの振り分けが始まった。生徒たちは、順番に呼ばれて、それぞれ振り分けられた各艇のヨットオーナーによって、オーナーのヨットに移動していく。

ラッコの番
クルージング教室に参加希望したヨットオーナーの半分以上の艇に、既に生徒さんたちが振り分けられて、生徒たちは、振り分けられたヨットに移動して行ってしまっていた。

加代ちゃん
ラッコに振り分けられた生徒は、ぜんぶで5名だった。5人目に呼ばれたのは、先ほど麻美子がロープワークを教えてあげていた加代だった。

ラッコへ案内
ラッコの生徒として振り分けられたのは5名。5名全員とも女性だった。麻美子は、彼女たちを連れて、ラッコのヨットが置かれている場所へと案内した。

キャタツ
ヨットは、船台の上に乗せられて、陸上の地面に保管されていた。船台の上に乗っているので、皆の目線の上の方にあった。ヨットにかけられているキャタツで登る。

船台のヨット
マリーナの船台に乗っているヨットには、長いキャタツを立て掛けて、キャタツをよじ登り、ヨットの周りをぐるっと囲ったライフラインというロープを跨いで、デッキの上に上がる。

デニムスカート
永田ルリ子は、ラッコに振り分けられた生徒の1人だった。肩より少し下ぐらいまで伸びたセミロングの髪、少し横に小太りな笑顔がかわいい女性だった。

ライフライン
永田ルリ子は、デニムのジャンパースカートを着ているのに、キャタツを何の躊躇もなくスルスルと登ってしまっていた。その姿を見ながら、今の子はすごいなと、おばさんっぽい感想を持った麻美子だった。

ラッコの船内
麻美子の心配をよそに、生徒たちは全員、スカートのルリ子も含め、何の問題もなくキャタツでデッキ上に上がれてしまった。一番最後に、麻美子もデッキに上がった。

キャプテン
女性たちがラッコの船内に入ると、船内の床を外して、その下に収納されている船のエンジンのメンテナンスをしている男性と出会った。彼がこの船、ヨットのキャプテンで隆といった。

女性が8割
横浜マリーナのクルージング教室は、4月から10月まで毎年開催されているが、どうしても女性の方が積極的な人が多いのか、常に生徒の数は、j男性よりも女性の方が多かった。

レース艇
マリーナに保管されているヨットは、大きく分けてクルージング艇とレース艇に分けられる。レース艇は、ヨット同士でレースして1位2位を競うのを楽しむ人たちのヨットだ。

のんびりクルージング
ラッコは、フィンランド製のセイリングクルーザーで、キャビン内も木部を多用した豪華だが重たいヨットだった。ヨットレースをするには不向きで、のんびりクルージングを楽しむヨットだった。

自己紹介
キャプテンである隆は、こうして5人が出会い、同じヨットに乗ることになったのだから、まずはお互いを知り合えるように自己紹介しあおうと、クルーたち皆に提案した。

柏木雪
自己紹介の最初は、柏木雪だった。彼女は、ラッコの乗員の中で最年長、隆や麻美子よりも1年年上だった。仕事は、物流会社で営業のサポートを担当する事務の仕事をしている。

佐藤麻美子
佐藤麻美子は、父の商事会社でOLをしている。隆とは、大学の同級生で同い年、話とかしていて馬が合ったのか、大学を卒業後も、なんだかんだとよくつるんで出かけていた。

石井陽子
石井陽子は、静かでおとなしそうな女性だった。大手電機メーカーに務めており、仕事中は黒縁のメガネをかけて勤務していた。パソコンが得意で、パソコンを使って会議やプレゼンなどで使用する資料を作成していた。

田端かなえ
田端かなえは、本当はアウトドアが苦手で、ヨットなんて乗るようなタイプではなかったが、母親にインドアにばかりいないで外に出ろと勧められて、友人の妹の加代と一緒にクルージング教室に応募したのだという。

山崎加代
山崎加代は、初対面の人とは人見知りの所があるが、仲良くなってくると、声も大きくなって、けっこうお喋りになる21歳の女の子だった。ラッコの乗員の中では最年少だ。

静かなクルーたち
クルーザーと呼ばれるヨットには、キャビンにキッチンも完備している。クルージングに出かけると、キャビンのキッチンで料理をして、皆で船の上で食事する。遠慮していると、食いっぱぐれるので食事で遠慮はしない。

永田ルリ子
永田ルリ子は、胸の辺りまで伸びたソバージュの髪、デニムスカートで1番女の子らしくみえるが、けっこう活発な子だった。活発というか、明るく楽しく、なんでも笑いに変えてしまうお笑い系の女の子だった。

漫才師
永田ルリ子は、お喋りでお笑い系というか、一回話し出すとお喋りが止まらなくなるところがあった。普段、無口なのに飲みの席や雑談が盛り上がってくると、ツッコミが多くなる隆とは良いコンビだった。

麻美子のきもち
麻美子は、クルージング教室の生徒さんたちが来たら、自分は隆のヨットから離れて、隆が一緒にセイリングする相手は、生徒さんに任せようと考えていた。それが、生徒さんたちと出会ったら、自分の子供のように思えてきていた。

かわいい女の子たち
ヨットの、クルージング教室の生徒さんたちと聞いて、ラグビー選手のような屈強な男性をイメージしていた麻美子は、ラッコにやって来た生徒さんが皆、かわいい女の子ばかりだったので愛おしく思えてしまっていた。

隆のスポーツカー
隆の車は、BMWのブルーの2人乗りのスポーツカーだった。マリーナで愛艇ラッコと並べて停めた時に、なんとなくかっこ良くマッチするのではないかと思って、このスポーツカーを選択したのだった。

かなえちゃん
かなえは、インドア派だった。仕事も、会社の営業サポートの仕事を完全テレワークでしていたので、会社に出社する事もなかった。先週末、横浜マリーナのクルージング教室に出掛けたのが久しぶりの外出だった。

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